
アメリカへの密入国を目指し、闇の中を、運び屋の車が待つポイントへと向かうメキシコ人たちの姿があった。
ラウルとシルビアの夫婦、シルビアの妹ココ。あともうひと息、というところで突如、国境パトロールの車が姿を現した。
散り散りになる集団。
「ロベルトがいないわ。ロベルト!」、仲間の名を呼ぶココ。
「あいつは三度目の国境越えだ。大丈夫。はぐれても、道なら知ってる。」
やがて運び屋と合流し、バンの荷台にギュウギュウに押し込まれた密入国者たちは、夢の国アメリカに辿り着いた。

会議室では、マーケティング部長のドンが、主力商品のハンバーガー“ビッグワン”の新コピー案をプレゼンしていた。
好調な売上げに、幹部たちも上機嫌だ。
本社内の研究室では、研究員たちが香料の開発に余念がない。
「バーベーキューの香りだよ」、香料を差し出す研究員。「本物そっくりだ」とドン。
ドンは社長に呼ばれた。
「テキサスの大学の院生たちが、ファーストフード各社の肉パテを分析した。
わが社のパテから多量の糞便性大腸菌が検出されたそうだ。
公になったらまずいことになる。コロラドの工場に調査に行ってくれないか。」

密入国したメキシコ人たちは、裏業者から低賃金の違法労働を斡旋された。
シルビアはビジネスホテルの客室清掃、ラウルとココは、ミッキーズの契約しているユニグローブ社の精肉工場だ。
ラウルは熱湯で機械を洗浄する仕事に、ココは牛肉を切り分けるラインに就いた。
新入りの女に手を出すことで悪名高い、ラインの現場責任者ジョージは、すぐにココに目をつけ、またたく間にねんごろになった。
ココはジョージからつかの間辛い仕事を忘れることが出来るドラッグも教わった。
一方、ラウルとシルビアは、アメリカで地道に働き、生活基盤を作ろうと必死だ。

ミッキーズ・バーガー コーディ店の厨房では、アルバイトたちがちんたらと時間をやり過ごしていた。
「ミッキーズへようこそ!」
カウンターを受け持つ生真面目な女子学生アンバーだけが、お客を笑顔で迎えていた。
そのお客はドン。大腸菌混入の原因を探るため、コロラドにやって来たのだ。
視察した精肉工場は、衛生管理も行き届いており、システマチックに機能しているように見えた。
ドンは、まずコーディ店の店長から始め、コロラド支社長、元の契約牧場主ルディを訪ねてヒアリングし、問題点を探ろうと努める。
「工場のライン稼動が早過ぎて、従業員たちの作業が追いつかない。
血や糞便が肉に混入することなんて日常茶飯事。事故も多発している。」、という噂も聞く。
コロラド支社長は「パテを生で食う奴がいるか?焼いてしまえば、大腸菌など問題ない。」と、ドンの目の前でバーガーに噛り付く。まるで隠された真実を食べつくさんばかりに。
やがて、押し寄せる現実に人々は翻弄されていく…。